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く問題を引き起こすのよ。聡子の苦労、私もよく分かるわ」 「学校の現場ってよく知らないけれど、俺たちの仕事とは全く異質だということだけはよく分かる。なんかあった時の対応が難しそうだな」  沖田の目は真剣だ。 「沖田クン、学校の教員に向いていそうな気がするわ」  佳代は、沖田に相対して、ふと思ったままを口にした。 「えっ、俺が、まさか?俺はものすごく大雑把なところがあって、こまやかさに欠けている。こんな性格は通用しない気がするけど」 「その大雑把なところがいいと思うわ。小さなことにこだわらない大らかさが子供と接するとき、とても大切だと思うの。自分の過去の仕事をふりかえってみて特にそう思うわ」  沖田は照れくさそうな笑顔を見せた。沖田のそんな素朴なところに佳代は惹かれる。母性本能をくすぐられるとは、こんな気持ちをいうのかなと、佳代は沖田に知られないようにそっと自分の胸に手をあてた。
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