5/14

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「佳代のお友達が女の子を出産したという話」 「ほう、それはおめでたいことだ。子供はどんどん産まなくっちゃな」  父の陽一は、威勢のいい口調でそう言った。しかし、表情は口調ほどには明るくなかった。  三人は、それぞれの持ち場に戻った。佳代は午後の教室の準備を始めた。準備が終わって出かける前に、佳代は思い切って沖田にメールを送った。沖田はすぐにすべて任せると返信してきた。佳代はできたら一緒に行って二人で選ぼうと再びメールを打った。すぐにまた、了解の返信がきた。  自分たちの住む町から一時間弱のところにある隣の市の商業施設は土曜日ということもあってかなり混雑していた。新生児、乳児そして幼児のための用品全般を揃えているテナントも客で賑わっていた。ほぼ同世代の若いママたちが真剣な眼差しで品を物色している。その脇でパパたちが子供をだっこしたり、手をつないだりして買い物が終わるのを待っている。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加