8/14

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「だいじょうぶ。女は強いのよ。聡子、その強い女たちの中でもとびっきりに強いと思うよ」 「そうかなあ?そうであればいいんだけれど」  沖田は自然に優しかった。作られた優しさではなかった。沖田から優しく気遣いされている聡子に嫉妬の感情が湧いた。その自分の感情に佳代はひどく驚いた。  沖田は、佳代が半分も食べ終わらないうちに、ショートケーキをペロリとたいらげた。 「私、どこか体当たり的に生きている聡子を見習いたいと思っているの。私、行動に移す前にすぐブレーキをかけるくせがあるのよね。こんなことしていたらいずれはしたいと思っている結婚もなかなかできないわ。 「でも、まだ、する気ないんだ?」 「そんなことはないわ。信念は変わらないけれど、考え方は変わっていくわ」  沖田はそれには反応しなかった。黙っていた。沖田にもっと何か言ってほしかった。きっと、ミモザでのことが心に引っかかっているのかもしれないと思った。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加