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 沖田と出かけた一週間後の同じ土曜、聡子の家を訪問した。聡子は赤ちゃんともども元気だった。聡子の両親もすごく喜んで出迎えてくれた。傍目には娘の離婚など、どこ吹く風という感じだった。孫の誕生が全てを帳消しにしてくれた感じだ。 「ありがとうね、色々と忙しいのに来てくれて。ほら、かわいいでしょう。陽菜よ。私に似て美人でしょ?」  聡子は努めて明るく振舞っていた。いや、振舞うというより、実際は自然体そのままなのかも知れない。 「抱いてみて。けっこう重たいでしょう?」 「ずっしりと重たいわ。聡子にそっくり。本当に美人になるわ!」 「美人になるのはいいけど、私みたいに波乱万丈はちょっとね」  自虐的な言葉を吐き、口をすぼめ、聡子はフフッと笑った。色香がこぼれた。もともと聡子は美人なのだが、子供を産んでさらに輪をかけて美しくなったような気がする。大
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