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親を眺めるような目つきで見つめている。最近、離婚したばかりの女性とはとても思えない明るい振舞い方だ。離婚した事実の片鱗すらも窺うことのできない聡子の様子に佳代は戸惑うばかりだった。  佳代は突然、聡子が沖田をわがものにしようと企んでいるのではないかと、唐突な疑念を抱いた。ただの勘でしかなかった。しかし、妄想の類ではないことは確かだ。あり得ないことではないと密かに警戒の念を抱いた。同時に、そんな想いを巡らす自分があさましく思えることも事実なのだ。  聡子は、沖田のプロポーズらしからぬ求婚の申し出を反芻してみる。結果的にうやむやな状態で事は終わってしまった。それにもかかわらず、佳代はあの日を境に沖田のことを今まで以上に気にかけるようになった。沖田には自分のことを常に意識しておいてもらいたかった。最低、沖田には他の誰とも親しくならず今のままでいて欲しかった。そして、その願いに立ちはだかる最初の人物は聡子をおいて他にないと思い込んだ。聡子は小学生
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