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の頃から慣れ親しんできた沖田に普通に好意を抱いている。今までは単なる好意だったかもしれない。しかし、そのうち聡子は沖田に好意以上の特別な想いを抱くようになるはずだと、佳代はまたもや女の勘を働かせた。
クリスマスの発表会の準備で忙殺される日々が続いている。練習にも熱が入る。その合間のプログラムの原案づくりや会場の設営の準備にも相当時間を費やしている。そのような状況下でも、出産のお祝いの品を持って聡子の実家を訪れたときのことが時々、佳代の頭の中をよぎった。
そんなある日の午後、近所のスーパーのレジで佳代は聞き覚えのある男の声に呼び止められた。沖田だった。沖田は籠いっぱいの品を軽々と手に持ち、佳代のすぐ後に並んでいた。佳代はびっくりして振り返り、すぐさま意識して満面の笑みを沖田に向けた。
佳代はレジを済ませた品を袋に詰め、沖田を待った。ふたりそろって店の外に出た。
「元気そうね。買い物もするんだ」
「当然さ、他の用事のついでにおふくろに頼まれた品を買ったところさ」
「聡子、陽菜ちゃんの世話で一生懸命でしょうね」
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