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子を静かに眺めている。つややかな黒髪を肩近くまで波打つように垂らした沙羅の外見はもういっぱしの大人の女性だ。
「コンサート、良かったよ。三人とも素晴らしかった。お家の人からもいっぱい褒められたでしょう?」
「まあ、任せなさい。千夏、お姉ちゃんよりも褒められたかもしれない」
得意満面の顔で千夏が佳代を見上げる。
「私もいっぱい褒められた」
夏子も負けじとばかり、佳代のセーターの袖を引っ張ってアピールする。沙羅は相変わらず笑みを浮かべたままだ。
練習を始める。コンサートに向けて練習した成果が三人の演奏にもはっきり表れている。それぞれ三人を三様に褒めていつもより早く練習を終える。
用意してきたポットの熱いココアを三人はふうふうと息で冷ましながら飲む。仕草がか
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