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いにする自分が恥ずかしくなった。様々な感情が波のように胸に渦巻いた。子供たちがいなければ、佳代はきっと大声で喚いてしまっていたのかも知れない。  沙羅に注意された千夏は夏子となにかぼそぼそと話している。沙羅は佳代に気付かれないように俯きながら時々上目づかいに佳代の表情に視線を這わす。この子、分かっているんだ、私の心の中を見透かしているんだと、佳代は心で呻いた。それでも努めて何気ないふりを装った。 「これで終わるけれど、みんなの方から何か質問はないですか?」  投げかけるが、夏子と千夏は首を横に振る。 「コンサートも終わってなんか目標がなくなって空しい感じがしますが、佳代センセイ、センセイだったらこれから先、どんな気持ちで過ごしていきますか?」  いつもはほとんどしゃべらない沙羅が突然、歯切れのよい声で質問してきた。妹の千夏がびっくりした顔で沙羅を見つめる。佳代も驚いた。なんと答えてあげたらいいか、戸惑った。 「難しい質問ね。でも、大切なことよね。目標があるから人間は生き生きと生きていける
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