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なの。わたしも八十九点取ってクラスで三番だったけど、百点には負けたわ。ママに威張れないのよねえ。できるお姉ちゃんを持つとたいへん」  千夏は生意気な口調で言いたいことをずばずば言うが、子供なりに周囲の評価に敏感になっているのがよく分かる。今の言葉も実は苦しい本音なのかも知れない。おとなしい沙羅はただ黙って聞いている。  「わたしも国語で百点取ったよ。漢字も全部書けて一番だった。ママも喜んでたよ」  夏子が負けじとばかり自慢する。佳代は、他人からの評価を期待する気持ちは、子供もそれから自分を含めた大人も全く同じなのだと、しみじみ思うのだった。 「佳代センセイ、この前ね、清掃作業があってね、子供も大人もゴミ拾いしたの。その時にいっしよのグループになったお兄ちゃん、牛を飼っててね、佳代センセイと同級生なんだって。そう言ってたよ」
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