【3】君色

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 風がサワサワと俺達の髪を掬って揺らした。 「その言葉の通り、その子はいつも私の傍にいてくれた。私ね……その事を……思い出したの。だから、その人と恋をしてもいいかなって……。本当はもうその人のこと、ちょっと好きかもって……」 「ま、ま、ま、真琴?そ、それって?」  俺は人差し指で、自分の鼻を指差す。 「でもね、海渡がロクな奴じゃないからやめとけって。お兄ちゃんもそう思ってる?」 「……っ!それってさ、もしかして……お、俺?口が悪くて、顔もイマイチで、性格が最悪くて、イヤな奴!?はぁ?何それ?それ……まさかの俺かよ?」  俺は河豚みたいに、ぷぅーっと頬を膨らませた。 「ふふっ。でも、ダメなんだよね?」 「いゃいゃいゃ、全然OKでしょ!こんな、良い男いないよ。真琴のことを、こんなに想ってる男は、世界中どこにもいねぇ!それは、兄貴にも負けない自信はある」 「海渡……」  真琴が俺を見て涙ぐんだ。 「あ……はっ、泣くなって!」 「私ね、ちゃんとお兄ちゃんに話してから、海渡と始めたかったの。海渡と……ちゃんと向き合いたかったから」 「うん。俺も兄貴に相談するつもりで、今日はここに来たんだ。兄貴、認めてくれるよな」  俺はもう一度、両手を合わせて拝んだ。  兄貴。  俺は子供の頃から、ずっと真琴のことが好きだった。  その想いは高校生になった今も変わらないよ。  俺がずっと守る。  真琴は俺がずっと守るから、安心して見守っていて欲しい。
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