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【海渡side】
「つうか、俺、すげぇびっくりしてんですケド。イケメンでモテモテのあの兄貴が、何でよりによって……」
俺は遅れて教室に入ってきた真琴に暴言を吐く。
真琴は慌てて俺の口を両手で塞いだ。
「バカ、教室で言わないでよ」
「俺、兄弟なのに全然知らなかったし!俺達、幼なじみだろ。陰に隠れてコソコソと!」
「シーッ!海渡、男のくせに口が軽いんだから」
「なんで?」
「学校で噂になるとイヤだから。お兄ちゃんは受験生だし、迷惑かけたくないんだ」
「なるほどね。不純異性交遊は校則で禁止だしな。音楽室でチューしてたことがバレたら、即停学だよな」
「バーカ!私とお兄ちゃんはそんなんじゃないし。絵に描いたモチみたいに、清らかな交際なんだからね!」
「は?意味がわかんねぇ」
「絵に描いたモチは食べれないでしょ。そんなことはしないってことよ」
「お前なら、山羊みたいに画に書いたモチでも食うんじゃね?」
俺はニヤニヤしながら真琴を見た。
要するに、キスは未遂に終わったってことがいいたいんだろう。
「本当にイヤな奴。貴公子のようなお兄ちゃんと、野蛮な海渡が兄弟だなんて、いまだに信じられないよ」
俺だって、信じらんねーよ。
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