第一話

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「交流を深めるためとか。そんな生易しいもんじゃないから」 「どういうこと?」  もしやこれは、高校生活での有名なシーン、焼きそばパン買ってこいよ的な扱いをされるのだろうか。 「絶対ハナコの考えている様な意味じゃないから」 「ち、超能力」 「何だよそれ」  タロウは腹を抱えて笑っていた。ふと目が合うと、タロウは少し恥ずかしそうに俯いた。私の見間違いでなければ、その耳は真っ赤になっていた。 「えっと、あのさ。明日も一緒に帰れる?」 「無理」 「即答かよ!」 「柔道同好会の教室を掃除しないといけないらしいから」  私は事の顛末を話した。 「別に行かなくても」  私もそう思う。断れば良い。けれど、引っ掛かるのだ。 「私、中学校まで腫れ物扱いだったというか。先生もあんまり声掛けて来なかった。けれど、先生は初めて、私を何かの始まりに誘ってくれたの。もう少し、考えてみたいんだ」  自分で言って驚いた。私はいつ、そんなことを考える様になったのか。 「そっか。わかった」  何故か、私も少し残念だった。 「えっと、じゃあ。また明日ね」  私が駅に入ろうとすると、タロウが私の腕を掴んだ。 「離れていた分の時間を埋めるには、少しでも一緒にいるべきだと思うんだ」 「急に哲学っぽく言ってるけど」     
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