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「だから俺も行くよ。柔道同好会」
私は今、とても間抜けな顔をしているだろう。
「タト君。あのさ、私、タト君なんか簡単にぶん投げられちゃうよ」
「あ、じゃあマネジャーでお願いいたします」
思わず笑ってしまった。
「あと、学校では。人前でタトは禁止」
「どうして?」
タロウは掴んだ手に力を込めた。
「二人だけの秘密だから。他の奴に知って欲しくない。ハナコだけが呼べる名前だから」
そう言って手を離し、タロウは短くお辞儀をして走り去っていった。
駅の前では、別れを惜しむカップルがいちゃついていた。
「か、帰ろう!」
私は足早にその場を後にした。
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