宝石探し

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「もしかしたら、友達じゃなくて彼氏出来たりとかね!」  母の一言に父が反応した。 「許さん!」  さっきまでは、波で打ち上げられ力尽きた魚の様だった父は腕を組み胡座を掻いていた。 「ハナコを狙う輩は、父さんが一人残らず」  最後まで言わずに、父は静かに泣き出した。 「嫌だ、ハナコはまだ、父さんの可愛いお姫さんなんだあ!」 「三十半ばのおっさんが何言ってるの」  正直、豚饅頭と呼ばれる女に近付く物好きはいないと思う。  私にとって、恋愛は未知なる世界で、遠い世界だ。それは、自分ではない誰かの世界で、無縁だとも思っている。 「好きになる、とか理解出来ないよ。友達すら出来なくて、自分の長所も言えない私を好きになる人なんて」 「あんたが好きになればいいんじゃない?」  母の言葉に首を振った。 「それもないよ。それこそ、相手に迷惑掛けそう」 「どういう迷惑?」  一瞬黙り、私は答えた。 「こんな私が隣で歩いたら笑い者になるよ」  父と母は顔を見合わせていた。その隙に、明日の準備がある、と言って、居間を後にした。     
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