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第一話
高校一年生になって二日目。クラスでは早くもコロニーが出来上がり、私は明らかに浮いていた。まだ朝のホームルームも終わっていない。今日は自己紹介や事務連絡、校内案内で授業が終わる。
「あ、タロウ! お前昨日来なかっただろう!」
「おはよう。昨日は休むって春休み前から言ってた」
「そうか。それよりさ、俺たちまたクラス一緒だな! よろしく!」
「うん。ヨウタ、よろしく」
私の隣席にはヨウタと呼ばれた男の子が座っていたが、タロウと呼ばれた男の子に席を譲った。
栗色の髪の毛に白い肌。顔にはそばかすがちらほらと。その瞳は、揺れる前髪のせいか、私の席からは見えなかった。
「あ、そうそう。お前の幼なじみのヒヨリちゃんは隣のクラスだってよ。残念だったな」
「何が残念なの?」
「だってあんな可愛い子だぞ? 早速皆狙ってるらしいし」
顔は見えずとも、溜め息が聞こえた。
「どうでもいいよ。第一、幼なじみじゃないし」
「え、まさか! 彼女に」
「違うよ。俺は狭山さんと何にもないから」
ふと思った。幼なじみなのに、苗字のさん付けは妙だ。
「でもさあ、ヒヨリちゃんはいっつもお前といるじゃん。中学校でも小学校でも」
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