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宝石探し
時すでに遅し。物心の付いた頃には、いつも豚饅頭という渾名で呼ばれ、人々の興味の対象になっていた。それは決して良い意味ではなく、悪い意味が強かった。
「コレドゾ」
小学生の頃、林間学校で知り合った男の子が、覚えたての日本語をたどたどしく言ってから、半ば強引にお揃いのキーホルダーを押し付けて来たことがあった。両親以外からの贈り物は初めてでとても嬉しかった。初めて出来た友達から貰ったキーホルダーは、今でもブレザーの胸ポケットに入っている。
小学校の頃参加した林間学校での三日間は、今でも私の心の奥に鎮座していて、輝く記憶の宝物となっていた。
「ハナコ。入学式終わったからって安心していたら駄目よ? はい。豚饅頭没収」
「お母さん」
「ん?」
母は声だけで返事をし、私の腕に抱かれていた豚饅頭の袋を開け、かぶりついていた。
「昔さ、林間学校で出来た友達の話したでしょう?」
「色白でそばかす顔の男の子?」
母は相変わらず、私の前で豚饅頭を食べている。母の体型は、あの国民的猫型機械の様な体型の私と違い、すらりとしている。それは父も同じであり、父いわく、祖父とそっくりなまん丸だから隔世遺伝だろう、と言っていた。
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