霧島愛 << はじまりのはじまり >>

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「このブースに居る皆さまはお気付きのようで」  薄暗かった部屋に明かりがついた。スピーカーからはハキハキとした声が流れる。  よく見ると何処かの学校の体育館の中に私達はいた。 「君達を拉致するのはとても簡単でした。上位ランクの人達なら、さぞかし苦労したと思いますけどね。さすがランクDの諸君だ」  壇上にはキグルミを着た人が立っていた。マイクを持っているので声の主だろう。  ふざけたキグルミだった。マレーグマに似ていた。 「なんか俺達バカにされてないか?」  たまたま隣りにいたおじさんが私に話しかけてきた。スーツを着ていて、40代くらいの人だ。  さっきの相手が能力者かどうか分かる人だ。 「おまえ誰だよ!」 「ここどこ?」 「私達をどうする気?!」  周りの人たちがパニックを起こし始めた。 「お黙りなさい!」  キグルミは言った。 「君達程度の人間は、僕には敵いませんよ。僕はスーパーキグルミなんだから」  キグルミは逆らったら承知しませんよと付け加えたが、どうするつもりなんだろう。
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