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初めての恋は、初めての片想い。
伝えられない片想いは、初めての失恋を連れてくる。
「好きだよぅ。壮ちゃんが、大好き……」
地面に向かって、呟く。涙が落ちて、シミを作っている。顔を上げると、壮ちゃんの背中がまだ見える。わたしの壮ちゃん。
持っていくマグカップを使うたびに思い出さなくてもいい。誰に貰ったのか、忘れてもいい。
壮ちゃんにとって、わたしが贈った思い出はそのうちガラクタになるかもしれない。捨てられていい。ひととき、壮ちゃんの中で思い出になることができただけで幸せだったと思うから。
大好きな背中を、あと少しだけでいいから、見ていたい。
伝えられない想いは、それでも、胸の中の宇宙で光っている。
わたしの片想いは、最後に強く、とても強く、光るのだろう。
了
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