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「どうしたの、学校で何かあった?
なんだか疲れてるみたい」
ぐっと顔を近づける泉の、そのふっくらとした
唇を目の前にして、押さえていた俺の理性が吹き
飛んだ。
手を伸ばして抱き寄せた泉からは、シャンプーの
香りが漂う。
隙だらけだった唇に、容赦なく深く口づける。
泉の唇は柔らかくて甘くて、俺は夢中になって
キスを続けた。
「……っ」
どのくらいそうしていたのか、小さな呻き声が
聞こえて俺は我に返った。
ハッとして、きつく抱きしめていた腕を解くと、
泉が潤んだ目で俺を見上げてくる。
「……泉、俺……」
自分のしたことに幻滅した。
誰よりも守りたいはずの女の子を、
襲うようなまねをした自分に。
「裕ちゃん……」
「ごめん!」
「裕ちゃん、待って!」
「ごめん、泉。ごめん……」
情けなくて顔を見られない。
ごめんと何度も繰り返し、俺はそこから
逃げ出した。
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