フライングキス 【祐太編】

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**** あれから二日が過ぎ、その間俺は一人で考えに 考えた。 こうなったのはそもそも、俺が泉にきちんと 気持ちを告げなかったからだ。 だから今日、それを実行する。 そのためにここで、二人が来るのを 待っている。 それにしても、生徒会室には何度か 来たことがあるけれど、いつも所狭しと、 物が積まれていて危なっかしい。 なんとなく落ち着かなくて、きょろきょろと 辺りを見回していると、静かにドアが開いて、 待ち人の一人が現れた。 「こんな所に呼び出して、僕に何の用かな」 「驚かせてすみません。どうしても聞いて もらわないといけないもんで」 先に来たのは副会長。 実行委員の集まりで何度か顔を見たが、こうして 面と向かうと、改めてイケメンだと思う。 泉はこういう男が好みだったのか。 俺もそれほどまずくはないと思っていたけど、 到底敵(とうていかな)うレベルじゃない。 「加藤君から聞かなければならないこと? そんなことがあったかな?」 「すぐにわかります。ほら、来たみたいだ」 パタパタと足音が聞こえ、開いたドアから 泉が顔を出した。
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