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委員の四人で一週間かけ、やっと企画を出し、
久しぶりに泉と下校できるのに、とんだ邪魔が
入ってしまった。
けれども他の奴らが帰ったとなると、中井一人に
押しつけるわけにもいかない
「泉、悪い。先に帰ってくれ。たぶん遅くなる」
「裕ちゃんとソフトクリーム食べたかったけど、
委員の仕事じゃ仕方ないね」
隣で俺達の話を聞いていた泉にそう言うと、
残念そうな表情で頷く。
「アイスは明日な。荷物は後で家に届けるから」
「え、いいよ。自分で……」
「いいから。じゃあな、気を付けて帰れよ」
「うん、裕ちゃん、頑張って。中井先輩も、
さよなら」
「あ、さよなら」
トートバッグに伸ばされた手を押し止めて、
中井と二人、昇降口を出て行く泉を見送った。
残念だけど仕方が無い。
責任は果たさなければ。
「ほら、行くぞ。おまえ、いつまで見てるんだ」
「いや、相変わらず可愛いなあと思って」
「見つめてもおまえにはやらん。行くぞ」
しみじみとそう語る中井を促し、元来た廊下を
引き返そうとした時───
中井の口から、信じられない話が飛び出した。
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