二人なら

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 ぎゅっと手を握りしめた。  誰もいない過疎った無人駅。  もうすぐ電車が二人を分かつだろう。 「上京したら、可愛い子がいっぱいいるんだろうね」  美保が握った手を見つめながらポツリと言った。 「美保にしか興味ないよ」 「でも、きっと圭介は私の事なんて忘れちゃうよ…就職だって東京でするんでしょう?」 「その時は必ず美保を迎えに来る。一緒に暮らそう。」 「圭介……」  そうこうしている内に遠くからカンカンカンと音を立てて電車が近づいてくる。  美保の瞳から一筋の涙が頬を伝った。 「圭介……私、ずっと待ってるから……必ず迎えに来てね……」  ぎゅっと繋いだままだった手が離され、圭介は美保をぎゅっと抱きしめた。 「少しの間、バイバイだ」  ホームに止まった電車に乗るため圭介が美保を離した。  本当は去っていく裾を掴みたかった。  でも、信じているから。  ありがとう、そして、さようなら。  美保は遠のいていく電車をずっと見つめていた。
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