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「ねえ、マスター」
「はい、なんでしょう?」
うたカフェのカウンターにて女の子が頼んだレモンスカッシュの中ですずしそうに泳ぐタコ型に飾り切りされたさくらんぼをストローでつつけば、大き目のまぁるい氷がカランと音を鳴らし、タコのチェリーがグラスの底に沈んでいく。
「あのね、どうしてイカリングはあるのにタコリングはないの?」
女の子はストローで底に沈んだタコチェリーをぐりぐりしながらマスターに問うが、問われたマスターは困ってしまいました。
「リンね、タコリング食べてみたいの!」
リンちゃんがビー玉のようなおめめをキラキラさせながらマスターにいいました。
「イカは頭が小さくて細ながくて切るときれいなわっかがたくさん出来るけど、タコはノーミソがたくさん詰まってて頭がおおきくてみじかいからあんまり数が作れないんですよ」
マスターはイカリングをおさらに盛りながらリンちゃんに答えました。
「ふーん。じゃあ、おおきなタコだったらタコリングいっぱいできる?」
「うーん?どうかな?たぶんできるとおもいますけど……」
「ほんとに!?じゃあ、ちょっと持ってくるから作ってね!」
「えっ!?」
リンちゃんは「すぐもどってくるからね!」って言ってお店を出ていってしまいました。
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