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勿論、なんでも聞いてくれよ。ウソをついたってはじまらない。
えっ、俺がそいつと初めて会ったときの事かい?
まいったな、そこまで遡っちまうか。
まあ、なんでも聞いてくれと言ったのは俺だからな。
うろおぼえだが彼と会ったのは、三年前かな。たしかやたら風が強くて砂ぼこりが眼に入って、辟易していた午後のことだった。
本当にきっかけはそんな、ささいな感じさ。
彼は道に迷っていて、通りがかった俺に道を聞いてきた。
珍しく暇だったせいかな、それとも初対面なのにウマが合ったというかな。
いつもなら適当な道程をデッチアゲてお別れするところだが、俺はわざわざその場所まで案内してやったのさ。
別れるときにはお互いの連絡先を交換するくらい、俺は彼の事が気に入っていた。彼の方もそうだったと確信しているぜ。
これはウソじゃない。本当の話さ。
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