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「天国に魅了された男」
男は目覚めた。
周りは一面の花畑で空は青々としていた。
自分がそれまでつけていたモノは何もなく、白い綺麗なシルクの服を着ていた。
ここはどこだろう?
そう思って見回していると、向こうに同じ服を着た集団がたっている。
先頭に立っている一人の青年がこちらに近づいてきた。
「こんにちは、あなたも死んでしまったのですね。」青年は朗らかにとんでもないことを言い出した。
「えっ、何言ってるんですか?」俺は彼の言葉に噛みつくように答えた。
「ここは天国なんですよ、あなたも自覚あるでしょ?」
そういわれてみると、自分の最後の光景がフラッシュバックで思い浮かんできた。
クタクタのまま夜道を歩く自分、突然目の前に広がる白い光、自分の周りに群がる人込み。
そうだ、俺は仕事帰りに車にはねられて死んだんだ。
俺がすべてを思い出しとことに気づいた青年は俺に手を差し伸べてきた。
「さぁ、せっかく天国に来れたのだから楽しみましょう。」
そういうと青年は俺を一団の元に引っ張っていった。
俺がそこに到着すると先ほどまで草原だった場所にテーブルと椅子が並べられていた。
テーブルにはずらりと豪華な料理と酒が並んでいた。
「さぁ、食べましょう。現世の苦しいことなんて忘れてしまいましょう。」
青年や他の人々と一緒に大宴会が始まった。
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