茜ちゃんの行く道と太一君の行く道

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四工最後の攻撃。太一君が中心になって一丸となって攻める。 両校大歓声の中、私は下を向く。だってわかってるもん。私の恋人は、私の親友に敗れることが…。 太一君の渾身のシュートをあっさり止める裕。 カウンター。高校生有数のストライカーになった椿を止められる選手は四工にはいなかった。 2-0で二年連続優勝は第一高校。大歓声の中、私は涙をこらえるのに必死だった。 だから気がつかなかった。私の他にもう一人、この勝利に悲しみの涙を流している女の子がいたことに…。 「やったね、あかね。って、どうしたの?」 一緒に試合を見に来ていた友人が、私の異変に気付く。 「あっ、なんでもない。やったね。優勝だよ。」 最近覚えた演技力を活かして、気づかれないように振る舞う。 「うん、うん。けど、茜の幼なじみ凄いよね。」 「裕のこと?」 「そうそう。勉強も1番だし、ルックスもいいし…。これで妻子がいなけりゃね。」 私はグランドを見る。チームの輪の中心にいる私の幼なじみは、娘の綾花ちゃんを抱っこして嬉しさいっぱいの裕とあやめ。 私はグラウンドで踞って動けない恋人より喜びの親友に目がいってしまう。
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