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「行こう。」友人に引っ張られてグランドになだれ込む。
「惜しかったね。お疲れ様」と太一君にメールを送ってから。
「おめでとう。裕。」
私は親友に声をかける。
振り返った親友は笑顔で私に近づき、「サンキュー、茜。」と言ってぎゅっと私をだきしめてきた。
「ち、ちょっと何してるのよ?」私は真っ赤になって抗議する。
「ん?いつものことじゃないか。」ガハガハ笑いながら私を抱く。
「いやいや、嫁も見てるぞ。」といって、私の親友に助けを求める。
「ふふふっ、茜ちゃんなら私は構わないよ。」ニコニコしながら私達を見る。こりゃ、夫が他の女を抱いてるんだぞ。いいのか?
「全くしょうがない奴だな。」と言って、山口哲也君が私から裕をひっぺがした。
「哲也、何すんだよ!」
「嫁の前で女の子を抱っこは駄目だろ?」
「じゃあ離してもらっていいかな?」
私は裕から哲也くんの胸に場所を移動しただけだ。つまり、私は哲也くんにぎゅっと抱かれているのだ。
回りから冷やかしがとぶ。しかし、私は哲也くんの温かい胸から離れることができなかった。
そう、恋人の前だったのにもかかわらず…。
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