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「さなちゃんのおとうさんってかっこいいよね」
「え」
「うんうん、かっこいい! それにすっごくわかいよね」
「……」
「いいなぁーわかくてかっこいいおとうさんだなんてー」
「……」
(おとうさん……かぁ)
友だちには父親として見られていた兄の智春。
私と兄は15、歳が離れていた。
6歳児からみれば21歳の男性は兄というよりも父親という認識を持ってしまうのは仕方がないことだと思った。
よくある親同士の再婚という形で兄妹になった私と智春。
出逢った時、智春は弁護士を目指す大学生だった。
ひとりっ子同士でお互いにとって初めての兄、妹だった。
幼い私を智春はとても可愛がってくれた。
共に仕事を抱え家を留守がちにしていた両親に代わって私の面倒を見てくれたのは智春だった。
だけどそんな仲睦まじい兄妹の関係は両親が結婚10年目の記念に海外旅行をしたことにより激変した。
現地の観光バスが事故を起こし両親はあっけなくこの世を去ってしまったのだ。
突然の訃報に私はただ茫然とするしかなかった。
だけど既に弁護士として活躍していた智春は事故に関する全ての処理を淡々とこなした。
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