青の兆候

1/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

青の兆候

目が覚めると、青だった。 壁も、天井も、タオルケットも、部屋に置かれている家具も、自分が着ている寝間着も、なにもかもがペンキをぶちまけたような青で塗りつぶされていた。 窓の向こうの景色も、空も、きっとあれが太陽、きっとあれが雲、一切合切のすべてが全部、青になっていた。 ボクは、これは夢なんじゃないかと思った。 もう一度寝ようと思って、ベッドに入って、目をつぶってみた。 なんとも眠れない。 一〇まで数えてみた。 やっぱり眠れない。 変に気持ちが高揚しているらしい。 目を開けてみた。 天井は、やっぱり青。 壁も、タオルケットも、やっぱり青。 あれ?ボクは? 両腕を天井へ向かって伸ばしてみた。 あれ、なんだか青白い。 昔のアニメに出てくるような、冷ややかな宇宙人のそれのような色に近い気がする。 ボクは慌ててベッドから飛び起き、姿見の前に立ってみた。 ああ、やっぱり、ボク自身も青白くなっている。 嘘だ。疑いたい気持ちが大きくなって、青白くないところを探したくって、寝間着を脱いだ。 パンツ一丁になったけれど、どこもかしこも青白い。 思い切ってパンツも脱いだ。 ああ、裏側までもが青白い…。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!