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思わず聞き返すと、大夢くんも「あ」と声をあげた。そして、みるみる赤くなっていく。思わず口を滑らしてしまったらしい。
「そうだったの?」
私がそう聞き返してみると、大夢くんはおずおずと頷いた。
「だって、そうだろ。……初めてなんだから、緊張するし。少しでもスムーズにできた方が、その、かっこいいし」
「ひ、大夢くんも初めてなの?!」
「そうだけど……」
「意外。大夢くん、モテるから……もうそういうコト、してるんだと思ってた」
「……幻滅した?」
私が勢いよく首を横に振ると、大夢くんは少しだけびっくりしていた。
「う、嬉しい!」
「……嬉しい?」
「大夢くんの初めて、ファーストキス、私にくれるなんて……あ! でももうしちゃったんだ」
歯がぶつかる、痛々しい思い出しかないファーストキス。それを思い出して、今度は頭を抱え込む。ため息をつくと、大夢くんが私の手を掴んだ。
「それならさ」
「え?」
「もう一回、しない?」
「も、もう一回?」
「キス。やり直そうよ、ファーストキス」
大夢くんの口から出るその甘美な言葉に、体中が熱くなっていく。声を出すこともできなくなった私は、おずおずと頷いた。
「それじゃあ……目、閉じてもらえる」
「は、はい……」
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