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「自分でタクシー拾ってくれる?」
「……事務所行くんでしょ?なら一緒でもっ」
「絶対だめ。写真撮られたら困るから」
「事務所に行くんだから写真撮られても──」
「だめ」
その写真撮られて“逢い引きデート”なんて記事でも書かれたらどうすんだよ!?
晶さんに捨てられるっつーのっ!
「マスコミなら二人のことは宣伝になるから写真くらい構わないって社長言ってたよ!」
「……」
歩き出した俺の背中に舞花は叫んだ。
「あのさ…」
局内であまり大きな声でできる会話でもなく、結局舞花の元まで戻った。
「俺、正直マスコミなんてどうでもいいの。芸能人のゴシップ記事なんて世間が騒ぐのは長くてほんの一ヶ月」
俺は何かを理由に晶さんとの仲がこじれることが一番怖い。
「くだらないゴシップで宣伝しなくてもドラマは充分人気あるから」
今から恋愛沙汰起こす方がマイナスだっつーの!
「頼むからドラマの撮影以外で俺に絡まないで──」
「──…っ」
冷たい俺の言葉に悔し気に睨んでくる舞花を背にして俺はそのまま歩き出した。
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