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「次は薬指ね。」
ケイはそう言った。その瞬間、彼女はウタカにウィンクする。ウタカは一瞬何のことか分からず困惑する。その意味を分からないまま、ウタカの薬指を剥がされる。
しかし、その時、彼女はウタカの右手の拘束具を男にバレないようにこっそり外した。そして彼女はウタカの足下に目をやる。
ウタカが僅かに足を動かしてみると、どうやら足枷は直ぐに外れそうだ。
「ねぇ、あなたも1枚剥がしてみない?」
ケイは血で染まるペンチを男に渡して言う。
「良いだろう。」
男がウタカに近づいてくる。ウタカはケイの意図を察する。
男が十分近づいた瞬間、右手で懐に隠した拳銃を取り出し、男に向けた。
「鍵を出せ。でないと打つぞ。」
ウタカは男の頭に銃口を突きつけたまま、怒鳴る。脳が興奮して信じられない大声が出る。
男はケイに目配せをして、鍵を男に渡させる。鍵を受け取った男は自らケイの左手の手錠を解く。ウタカはその手錠を男につけさせた。
ウタカは男に銃を突きつけたまま、建物を出る。外には銃を持った男たちがいるが、ボスに銃を突きつけられていては手出し出来ない。
ウタカは左手の痛みを感じながら、しかし無事に建物を抜け出した。外にはシロの服装に偽装した内扉庁の面々が準備良く待ち構えている。
何だ中々才能があるじゃないか。ウタカは安心した瞬間、気が抜けるようにして倒れた。
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