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しかしどうしてこうも女ばかりなのだろうか。ウタカはミッションが始まってからサキを出来るだけ思い出さないようにしてきたが、女を見るとどうしてもサキの顔が頭に浮かんできそうになる。
「あなた、何者なの?」
女が尋ねる。どうやらウタカは疑われているようだ。最初からマズイことになった。そう上手くはいかないものだ。拳銃を使うようなことにならなければ良いが。
「クロに入りたいです...。」
ウタカは出来るだけ弱々しく言う。
「ここはクロじゃないわ。私たちはクロと袂を分かった。」
女は言った。信用しただろうか。
「どちらにしても、あたなは信用できない。リーダーに会ってもらう。」
ウタカはそのまま拘束され、部屋から連れ出される。最悪の展開だ。ウタカはこの仕事に向いていなかったとつくづく後悔した。
何段の階段を上がっただろうか。最上階と思われる場所にウタカは連れていかれる。そこは他の階とは異なりワンフロア全体が一つの部屋になっている。
ウタカは部屋に入るなり、男たちに拳銃を向けられる。
やはり兵器密造の情報は本当だった。ウタカはあっという間にその事実を突き止めた訳ではあるが、ここから生きて返れる見込みは薄そうだった。奥で1人だけ拳銃を構えずに、椅子に座っている男が、リーダーだろうとウタカは直ぐに分かる。彼はまだ30代前半くらいの若い男で白い肌を持った男だった。
「さて、君はシロの差し金か。あるいは政府の犬だろうか。」
男は静かに言った。
「私はただ、クロに入りたいと...。」
ウタカは一応、嘘を突き通そうとする。今更何もできないが、せめて時間を稼ごうと考えた、
「ふっ。まあいい。ここにいるケイは拷問のプロだ。直ぐに真実を話したくなるだろう。」
ケイはウタカを連れてきた女のことのようだった。なるほど余程サディスティックな女なのだろう。彼女は嬉しそうにウタカを見ている。
「久しぶりだからケイも腕が鳴るだろう。私も見学させて貰うよ。」
男はケイと供にウタカを引っ張って拷問部屋に入る。ウタカはまた椅子に座らせられて、手足を拘束される。
「まずは、爪を剥がしていきましょうね。」
ケイはさも嬉しそうに言う。彼女が喜んで拷問すればするほど、リーダーの男も満足するようだ。
ケイはペンチを片手にウタカに近づく。左手の小指の爪から剥がす。
ウタカは痛みに耐えながら、しかし呻き声を漏らす。ケイとリーダーの男は楽しそうだ。
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