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だが、
小野という家に生まれついた運命というのだろうか、
父の政直は、
政次の細やかな幸せさえも奪おうとしていた。
「次郎様を犯せ。」
元服の儀式を終え、宴の席でのことだった。
横に座った父が政次の祝いの盃に酒を注ぎながら囁いた。
「父上、今、何と申されたのですか?
酔うてしまったようで。」
とんでもない言葉を耳にしたような気がして、
思わず聞き返してしまった。
「間違うてはおらぬ。
こう申した、次郎様を犯せと。」
美酒に酔い、心地よく痺れた頭が一気に冷えた。
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