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「何故、そのようなことを・・・」
「声を落とせ。これしきの事で騒ぐでない。」
出家して尼になろうとも、千代は井伊家の総領娘であることには変わりはない。なのに、これしきという言葉で済まされるわけなどない。政次は喉の奥から怒りの言葉が漏れ出しそうになるのをなんとか堪えた。
「余計なことは考えずともよい。
お前はただ『あれ』を好きなだけ味わえばよい。吸い付くような白肌はどのような感触だったか、後で教えてくれぬか?」
吐き気がした。
なんと下劣な言い方なのだろか。
表情一つ変えず言うこの男は、人の形はすれど、人ではない。
獣だ。
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