ep3 覚醒ト決意

5/13
前へ
/73ページ
次へ
冷たい目で政次を見つめる父を睨み返しながら言った。怒りなのか緊張なのか分からないが握った拳が小刻みに震えた。 声まで震えそうになるのを一度唇を噛みしめて耐え、ごくりと唾を飲み込んで口を開いた。 「父上に何を言われようとも、私には、できませぬ。」 「よいのか、お前はそれで?」 「どういう意味に御座いますか?」 「くくっ、相変わらずその頭は使い物にならぬの。」 「・・・・」 「そなたは幼い時分から次郎様...いや、千代様を好いておるであろう?」 「なっ、何故そのようなことを。」 「知らぬと思うてか?里の者ならば皆知っておる。  好いておるのだろう?   故にお前に任せてやろうと思うてな。  そんな親心がお前には分からぬか?」 「親心?」 「そうであろう?」 「それは親心とは言いませぬ。」 「好いておる女子を抱かせてやろうというのだぞ?  男なら喜ぶべきところであろう?」 「そのようなことは私は望んでおりませぬ。  人の道に外れてまで、好いた女子を手に入れたいと思うておりませぬ。」 「人の道に外れる?異なことを。好いた女子を抱くということが、何故、人の道に外れるのだ。当たり前のことであろう?」 「女子にも意思はございますゆえ。」     
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加