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「そのような事は些末なことじゃ。ひとたび肌を重ねてしまえば貞操など忘れてしまうわ。」
「たとえ他の女子がそうでも、相手が千代様にございますぞ。無理やり手籠めにしたなど知られれば直平様が黙っておりますまい。ならば尚更。」
「では、無理やりでなければよいのか?」
何か思案するように口元を長細い指で撫で始めた。
嫌な予感がした。
父ならばどんな卑怯な手を使ってでも事を成し遂げようとするだろうと思った。
「何をするおつもりに御座いますか?」
「媚薬がある。堺で手に入れた物なのだが、それを使えばよい。少量を飲むだけで、たとえ処女でも盛りのついた雌猫のようになるらしい。その効果を確かめる良い機会じゃ。さっそく朧に持ってこさせよう。」
「父上、お止め下さい。このような方法で小野を大きくしても真の力にはなりませぬ。より一層反発を強めるだけに御座います。良策とは言えませぬ。」
「そうか。ならば、他に当たるだけじゃがの。
よいのか?あてなどいくらでもある。
処女の美尼じゃぞ?
暗躍など使わなくとも男なら皆
喜んでむしゃぶりつく。」
そう言うと、天井を見上げ目を閉じ、思案してから、政次の顔をじっと見つめて嗤った。
「そうか、お前がやらぬというならば、まぁ・・・俺でも構わぬな。
後妻として迎え入れるという手も無くはない。
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