last chapter 愛スル者ヘ

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闇夜を切り裂くような絶叫が寺中に響き渡り、傑山が風のように駆け抜けていった。 昊天が、「次郎を頼みます」と言う前に、横にいた傑山は飛び出して行ってしまった。 「次郎を守ってやってください・・・」 手を合わせながら今は亡き直虎の父、直盛に願った。 強い決意を秘めた瞳をした傑山が戻ってきた。 二人は顔を見合わせ、 一つ頷いた。 言葉は要らなかった。 ずっと共に過ごしてきたこの時間で言葉は必要なかった。 ついに、その時が来たのだ。 ずっと昔から二人の覚悟は決まっていた。 あれほど皆が死に物狂いで戦ってきたのに結局はこうなってしまった。 仏や神は一体何を見ておるのだろうか。 そんな罰当たりな考えが頭に浮かんだ。 「あれを取りに行く。」 傑山は俯いたまま、短く呟いた。 小さく手が震えた。 終焉が、もう目の前にある。
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