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その1
最初の記憶は弟が生まれた日。
ぼくもいつかお父さんやお母さんのように大きくなると思ってた。でも、生まれた弟は初めからぼくより大きかった。
1度、縮むのかな?
と考えたけどそんな事は無かった。
赤ちゃんは力の加減ができず、手足をばたつかせるので近づくと危険だと言われて眠っている時しか触らせてもらえなかった。
生まれたばかりの弟の膝から下くらいのぼく。大きいけどかわいい。ぼくの弟。
「とーた、くいしゅ、おっちい。みの、ちっちゃい。なんで?」
「なんでだろうな」
「かーた?」
「なんでかしらね」
父も母も理由を教えてくれなかった。
家族の中で、ぼくだけが小さい。
お出かけしてもぼくみたいに小さい子はどこにもいない。
自分がこの辺りでたった1人の小人だと気がついたのはいつだったろう。
弟のクリスピンがすくすくと育ち、力の加減が上手になって一緒に遊べるようになった頃だったかな? クリスと同じくらいの大きなちびっ子がぼくを珍しがって欲しがって駄々をこねた。
その子の親がクリスにぼくをどこで見つけたのか聞いたから。だから僕は自分がとても珍しいのだと分かった。
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