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 でもある日、テレビを観ていた息子は妙案を思いつくんだ」  そこでブルーマンは、僕の空にしたハンバーグの皿を指さした。 「青は食欲を減退させる色。テレビでそう流れていた情報で、身を守ろうと考えた。青を身にまとえば、父親は自分を食欲の対象と見なくなるんじゃないか……とね」  皿は、鮮やかなコバルトブルーだった。 「それから息子は、青いものばかりを身につけた。それが効を奏したのかは分からないが、父親に食べられることはなかった。いつしか青は、息子にとってなくてはならない色となり、いつも身につけるようになった。小物に青も増えた。青は彼に、精神の安定をもたらしたのさ。  そうして息子は無事に、父親と暮らすことが出来ましたとさ──めでたしめでたし」  爽やかに笑顔で締めくくったブルーマン。  対する僕は、テーブル越しにその上に乗せていた両手を小さく震えさせていた。 「い……今のは、本当の話?」 「さぁ。どうかな」  どう考えても今の話の内容は、そのままブルーマンの過去のように思えた。  いや、証拠なんて何もないし、嘘だってこともあり得る。いやきっと、嘘に決まっているんだ。そんなこと、あるはずがない。さっき見た彼の父親が、殺人犯であり食人鬼だなんて。     
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