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「ブルーマンはイカれてて、病院に通っているらしい」 ──確かに彼は、息子は気が狂いそうになって病院へ通ったと言っていた。 「変態的な青マニアで、家の中も真っ青だって」 ──真っ青ではなかったが、青の小物はあちこちに点在していた。 「実は殺人鬼で、家には死体がゴロゴロ転がっている」 ──僕があの時、二階に続く階段の上で見たものは……。  グッとお腹の上らへん、胃の辺りを押した。吐けたらいい。でも吐けなかった。あのハンバーグは何だったんだ。おいしかったあのハンバーグ。青い皿に乗せられたハンバーグ。ブルーマンはあのハンバーグを作るため、レシピを求め二階に上がった。二階には彼がいたはずだ。無愛想で人付き合いの苦手そうな、彼が。  僕は泥のように深く眠った。
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