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 数日後、梅雨明け宣言もされて晴れた日曜日に、僕は青い傘を持ってブルーマンの家に出向いた。  町中の地図とタグを照らし合わせて着いた先には、ごくごく平凡といえる二階建ての一軒家が佇んでいた。  僕は覚悟を決めると、これまた平凡といえるインターフォンを押した。しばらく待つと、相手が出る。 『はい』ブルーマンの声だった。 「あの、この間傘を貸してもらった者です。返しに来ました」  あらかじめ考えていたセリフを緊張しながら言うと、ブルーマンはすぐに玄関先に出てくれた。今日もやっぱり青い彼は、少し驚いた表情をしていた。 「ありがとう。わざわざ持ってきてくれて」 「いえ、こちらこそありがとうございます」  そう言いつつ玄関先を盗み見る。置物も壁の飾りもない簡素なそこは、まったく青くはなかった。  そんな僕の挙動にブルーマンが気づいていたかは分からないが、彼は思いもかけぬことを言い出した。 「良かったら上がっていくかい」  僕の発した「え」は、とてもマヌケだったろう。 「お茶でも飲んでいきなよ。届けてくれたお礼だよ」 「でもそんな、悪いです」 「子どもが遠慮なんて、するもんじゃないよ」     
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