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ブルーマンは申し訳なさそうに肩をすくめた。そしてすぐに気分を変えようとしたのか、とある提案を口にする。
「良かったらちょっとご飯も食べて行ってよ」
「ご飯?」
「今、料理にはまっていてね。誰かに食べて欲しいな、てずっと考えていたんだ。大丈夫、夕飯には支障のないよう少なめにはするから」
時刻はちょうど三時だった。お昼は食べてきたが、少しだけお腹もすき始める時刻だ。大人からの(しかもあの、ブルーマンの)誘いを断れるわけもなく、僕は小さくうなずいた。ブルーマンはまた目尻にしわを増やした。
「じゃあちょっと、二階に行ってくる。レシピがないとまだ、自信がなくてね」
彼はリビングを出た。残された僕は、ジュースを飲みつつぐるりと辺りを見渡す。
するとテレビ横の低い棚に、一つの写真を見つけた。夫婦が子ども一人を間に挟み撮影された、家族写真だった。子どもはおそらく当時の僕と同い年、小学校高学年くらいだろう。ブルーマンの幼い頃だとすぐにわかった。しかし彼は、青い服装ではなかった。白シャツのワンポイントを着て、無邪気にピースサインを作っている。
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