サヨナラノ言ノ葉

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蓮香の後を追うようにして、拝殿の奥の方へ行くと、隅の方に布団が敷いてあって、そこに一人の男性が足だけ布団に入れて座っていた。 「菊水、無理をせず寝ておけ。蓮香は大丈夫と言っておったが心配してついてきてよかった」 比良坂が男性、菊水さんに駆け寄って身体を支える。 「大丈夫だよ。無理はしていないし、規則正しい生活を送っているし。ねぇ、蓮香」 「そのせいで、オレは無駄に走り回ることになるんだけどな」 「ごめんね。僕は拝殿から出られないし、動き回れる身体じゃないから」 柔らかい声に優しげな表情。 スッキリとした青い短めの髪。 瞳も深い青色で、菊水さんの儚さが一層増しているんじゃないかと思う。 「彼が望まれぬお客人だね。このような姿で申し訳ない、僕がこの神社のこちら側を取り仕切る菊水です。あなたは早くこの神社から出たいのでしょう?」 穏やかな声だけど、有無を言わせない冷たい響きに、何も反応を返せない。 「僕はこの神社のこちら側を安寧に保つ役目がある。蓮香も比良坂もその為に動いてくれているんだ。あなたの存在自体が不穏分子だと自覚していただきたいのです。出る方法はお教えしますので」
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