閉ジラレタ道

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「これより先には進むな」 「えっ!?」 声のする方に目をやると、薄紫の長い髪をきっちりと結い上げて、大河ドラマとかゲームで見たことのある武士が付けている鎧を着込んで、刀を持った人が近くの石に腰掛けていた。 「これより先の大岩の裂け目は黄泉の国。我は黄泉からこちらに出でる亡者や悪霊を斬るのが役目。そして黄泉の気に惹かれ足を踏み入れようとする者を止める役目も担っている。先にどうしても進むなら我を倒さねばならぬが?」 「け、結構です!」 刀はもちろん、竹刀も握ったことのない俺が、見るからに武士!って人に敵うはずがないのは当たり前じゃないか。 そうだ、この人がさっきの少年が言っていた"菊水"って人かも。 「あの…もしかして…菊水さん…ですか?」 「菊水だと?何故、お前がその名を知っている!?お前のような人間が知っている名ではないはずだ!」 急に立ち上がったかと思うと、彼は刀を鞘に収めたまま、俺の首筋に押し当てる。 もし鞘から抜いていたら、間違いなく首を斬られていたはずだ。 「さ、さっき、一緒にいた金髪の男の子が言ってたので!」 「金髪の少年…蓮香(レンカ)か…」
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