閉ジラレタ道

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あの子って蓮香って名前なんだ。 そう言えば、菊水さんもそうだけど、何で名前の漢字が浮かんでくるんだろ? って、今は札を探す方が先だ。 少し落ち着いたのか、俺から少し離れた彼に尋ねてみる。 「あの、ここらで札を見掛けませんでしたか?」 「札?」 「蓮香は呪符って言ってました。楼門を開ける為に必要らしくて…」 「楼門が閉まるなど、普通なら有り得んことだ。菊水に何かあったのかもしれん。我も行こう、呪符なら蓮香が見付けているやもしれぬ」 そう言うと、彼は髪を結っていた紐を外して地面に置くと、紐ごと刀を地面に突き立てて、その場を離れようとした。 「しばらくは黄泉の国からは何も出てこれぬ。これ自体が我と同じ力があり、封印をしてくれる。行くぞ…名は何と呼べばいいのだ?」 「桜里(オウリ)。桜の里と書いてオウリだ」 「我は比良坂(ヒラサカ)。黄泉の住人よ」 比良坂の高圧的だけど、少し分かりにくい部分もあるけど、癖でそういう口調なのかと思い、あんまり気にしないようにした。 俺の目的はこの神社を出ることなんだから…!
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