サヨナラノ言ノ葉

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蓮香と別れた楼門の前まで比良坂と向かうと、既に蓮香が待っていた。 「遅い!ってか、何で比良坂まで?」 「楼門が閉まっていると聞いて、菊水に何かあったのではと不安になってな」 「ないない。今日もいつも通り祈って、神具を磨いたり、呪符の確認してたぜ?飯もきちんと食ってるし、滋養の薬も時間通りに飲んでるし。むしろ、こいつが入ってきたからじゃないかと思うけどね」 「俺のせい!?」 「とにかく開けようぜ。呪符は見付かったし、火打ち石はあるから、これで楼門も開くだろうさ」 蓮香が呪符と思われる紙をくしゃくしゃにして、火を付けて宙に放り投げると、呪符が炎を纏った小鳥になって、左右のぼんぼりに火を灯し、そのまま灰になった。 こんなのマジックでも見たことない。 呆気に取られていると、門の扉が重厚な音を立てて、左右に開いた。 「開いたな、行こうぜ」 「どうした?臆したか桜里」 「ちょっとびっくりしただけ…」 「オウリって名前なのかお前」 「桜の里って書くんだよ。キミは蓮香でしょ?比良坂が言ってたよ」 「勝手に名前教えるなよ!真名(マコトナ)じゃないからいいけど、真名だったら…」
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