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アルスのお陰で外に出ても恥ずかしくない格好となり、アルスに連れらるようにして駅内を歩いた。
時折すれ違う人達は、やはり私の見慣れた人の姿ではなかった。
身長の高すぎる大男がいれば、その逆の小人も。
映画やアニメで見た事のある、妖精みたいな人だったり動物の耳や体を持つ獣人だったり。
それぞれ個性的な人達ばかりで、ついつい目が行ってしまう。
「遊園地にでも来た子供みたいな目してるよ、カンナ」
アルスに指摘されて小さくなりながらも、本音を呟く。
「お恥ずかしいながら……すごく興味が湧くものばかりで……」
「まあ、無理もないか。非日常が溢れかえってるんだもんね。でも、楽しみはこれからだよ」
そう言って、昨日アルスと私が出会った窓口へと向かった。
改札口が近づくにつれて、人が多くなっていく。
駅の中は昨日に比べて活気で満ち溢れていた。
忙しいながらも、皆生き生きと仕事を進めているのを窓口の外から眺めた。
駅の朝は忙しい、それが目に見えて少し背筋が伸びた。
「アルス!お前、今日休みだろ。どうした?」
一人の狐耳のような耳を生やした男の人が、窓口から顔を出してきた。
「ちょっとしたぶらり旅にでも行こうかなと」
「急にどうしたーーって、後ろの連れは……もしや?」
「ああ、そのもしや。昨日俺が窓口閉めようとしたら、偶然ね」
「なるほどな。そりゃあいい仕事だ。お嬢ちゃん、何か困ったことあったらいつでも言ってくれよな」
「えっ!あ、はい!!」
こんな短時間で異世界から来た人と認識されてしまうのか。
これは肩身狭い思いをしなくても、受け入れてくれそうだ。
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