さよなら

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「ごめんね、僕はもう君とはいられない」  暑苦しい蝉の声が澄んだ青空に響くある夏の日。真っ白な部屋の一室で私は大事な人から別れを告げられた。  彼の手に、重ねるようにそっと手を置き彼の青い瞳を見つめ言う。 「……今までありがとう。さようなら」  ふっと、その綺麗な目を細めて儚い笑顔を浮かべ唇を動かし言葉を零す。 「……また、いつか会えるといいね」 「……うん」  そして彼は静かに息を引き取った。  今まで私の心の支えになってくれていた彼との永遠の別れ。  彼は穏やかに眠りについている。もう言葉を交わすことはなく、彼と過ごす時間は突然終わりを告げた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加