2 幼馴染

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玄関を開けると、甲斐は「お邪魔しまーす」と小さい声で言って私より先にリビングに入っていった。 するとママの黄色い声がキッチンの方から飛んだ。 「あらまあ、甲斐くんまた背が伸びた? 羨ましいなー。汰月は一向に伸びないのよね。菜月もだけど」 聞こえてますが。と思いつつ、私はわざとゆっくりと靴を脱いだ。 お兄はお風呂かな。ママと甲斐と三人になると、ママがうるさくて嫌なんだよね。 「甲斐くんは彼女できたの? やっぱりモテるんじゃない?」 おいおいおばさん。セクハラでは。 「いやいや、全然っすよ」 「もうさ、いっそのこと菜月と付き合ってあげてよ。そしたら甲斐くんもいずれウチの子になるじゃない!」 こら。こらこら。また始まった。甲斐の顔を見るたび、ママはいつもこうだった。 「いやいや、菜月は妹みたいなもんすから」と、甲斐が言った。 なに?! 妹? と私は玄関に座り込んだまま目をしばたかせた。 いつの間に。私は甲斐のお姉ちゃんのつもりでいたのに。 でも確かに……。と私は思った。 確かに最近はもう弟という感じではなくなっていた。
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